河後森城跡の東部ゾーンにある東第四曲輪と古城第二曲輪の間には、最大幅約7m、深さ約3mを測る城内最大規模の堀切があります。この堀切からは、新旧6段階におよぶ掘立柱の門跡が見つかっています。発掘調査の結果、古い段階の城門は道幅が狭く進行方向に対して直角に築かれていたのに対し、新しい段階の城門は道幅が広く進行方向に対してやや斜めに築かれていたことがわかりました。また、城門の構造も新旧で異なっていたと考えられています。これらの城門は、城の内外を分かつように設置されており、城の出入口において防御上重要な役割を果たしていました。
これらの城門を復元するため、河後森城跡城門復元プロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトは、(1)山城の城門に関する学習を行い、(2)作事体験を通して実際に史跡現地に城門を設置し、(3)完成した復元城門周辺で攻防体験することによって城門の機能を実証する、というものです。
プロジェクト第一弾として、9月6日に森の国戦国史講座「河後森城の門を復元する!」を開催しました。この講座では、日本建築史がご専門の広島大学大学院の三浦正幸教授を招聘し、堀切で見つかった城門の復元方法について講演していただきました。
そして今回、第二弾として体験学習会「河後森城跡の城門を復元しよう!」を開催しました。体験学習会では、まず戦国時代の大工の技について絵巻物等を参考に学習しました。その後、史跡現地において現役の大工に大工道具の使い方や大工の技について実演を交えた指導をしていただきました。そして、材木の加工から組み立て、設置を行いました。完成した復元城門は高さ及び幅ともに約3mを測る立派なもので、その規模やどっしりとしたたたずまいに参加者から歓声が起こっていました。
11月17日、第2回史跡見学会「河後森城の植生・景観調査」を実施しました。この見学会は、河後森城のよりよい利活用を進めるため、河後森城における植生や景観について検討する会です。2回目の今回も、愛媛大学名誉教授の下條信行氏と江崎次夫氏にご指導いただきながら、城内の植生や城内外の景観について協議しました。
見学会当日はあいにくの雨でしたが、本郭南側に自生するイロハモミジの紅葉状況の観察と新城地区に自生するオンツツジの育成状況を確認しました。イロハモミジは、色づくまでもう少し時間がかかりそうで、前日から降り続く雨で葉が落ちていました。オンツツジについては、来年3月ごろに開催する移植会の時に採取するものの選定作業を行いました。また、ツツジの移植を含めた新城地区のあり方等について協議しました。
町内の埋蔵文化財を活かした活用行事、史跡見学会及び体験学習会を開催します。みなさん是非ご参加ください!
河後森城跡本郭からみた町内の田園風景が大変見ごろを迎えております。田植えを終えて青々と成長した苗がとてもまぶしく見えます。
みなさん是非河後森城跡にお越しください!
5月21日、「愛媛・高知交流会議」が松野町で開催され、愛媛県の中村時広知事と高知県の尾崎正直知事が視察で河後森城跡に来城されました。現地では、担当職員をはじめ森の国山城の会の会長・副会長がお出迎えしていました。両県知事は、整備された建物跡や切岸や土塁などの防御施設を大変興味深そうに見学され、職員の説明を熱心に聞いておられました。
5月14日、平成27年度第1回目の戦国の食学習会を開催しました。
河後森城跡では、本郭という所から城内で最大級の掘立柱(ほったてばしら)建物跡が見つかっています。この建物跡では、飲食を伴う儀式・儀礼が執り行われていたと考えられています。この儀式・儀礼にはたくさんの料理がだされ、時には夜通し行われていたことが文献等からわかっています。この儀式・儀礼を復元するために発足したのが「戦国の食学習会」です。
学習会では、文献等から戦国時代の儀式・儀礼にだされていた料理や食材を研究し実際に調理実験を行って戦国御膳の復元に取り組んでいます。また、料理だけでなく、料理に使われていた道具や儀式・儀礼における場や装いの勉強も行っています。
第1回目となる今回は、今年度の活動計画等について話し合いました。今年度は中世調味料の復元実験や中世の道具を使った米の脱穀・精米実験、御膳に使うかわらけづくり実験等を計画しています。
学習会の様子
料理実験の様子
4月25日、史跡見学会~河後森城の植生・景観調査~を開催しました。
この会は、史跡河後森城跡のよりよい整備と活用をめざして、城内の植生や城内外の景観について専門家を交えながら協議するというもので、参加者と一緒に整備について考える公開型の調査です。今回は、平成26年度の活動報告を行った後、史跡現地に移動して平成26年度環境整備工事箇所の視察、新城地区に自生するオンツツジの生育状況の観察、本郭から城内外への景観観察等の調査を実施しました。特に、新城の曲輪上に自生するオンツツジについては、遺構の保護や整備に伴う今後の対処方法等を専門家の指導を受けながら協議しました。
河後森城跡新城地区に自生しているオンツツジが見ごろを迎えています。
新城に連絡する道沿いにはオンツツジが自生していますが、まるでツツジのトンネルのように一面に花が咲いています。
河後森城跡では、史跡見学会と題した公開型の植生・景観調査を実施しています。これは、現在町が継続して実施している史跡整備に伴い、専門家の指導を受けながら河後森城跡にある植物や城内外からの景観を調査するものです。また、新城地区では、毎年森の国山城の会主催事業「自生ツツジの移植会」が開催されています。この会は、遺構保護と整備のため曲輪上にあるオンツツジを新城西側斜面に移植するものです。見ごろを迎えている新城地区のツツジも、こうした活動の成果といえます。
毎年、6月の初めごろまでが見ごろの自生ツツジ。みなさんぜひ河後森城跡にお越しください。
新城地区のツツジのトンネル
ツツジの開花状況
史跡見学会の様子
ツツジの移植会の様子