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診療所だより 3号(発熱について)

ページID:0003323 印刷用ページを表示する 更新日:2017年12月22日更新

発熱について

いよいよ冬到来となり風邪が流行る季節となりました。
病気にかかると熱が出ることがありますが、今回はその「熱」についてのお話です。

まずは人間の体温がほぼ一定になっている仕組みから

脳の中に体温を設定している場所があり、そこを体温中枢と言います(詳しくは視床下部にあります)。
そこが体温を約36度と設定しているので、外が暑かろうと寒かろうとある程度までなら
人間の体温はほぼ36度前後に保たれます。

病気になると、どのような仕組みで体温が上がるのでしょうか?

体の中に細菌やウイルスが入ると、先ほどの体温中枢が体に命令を出して筋肉を震えさせたり
汗を出にくくさせて熱を発生させ、体温を上げるように促します。(なので高い熱が出ている時はガタガタ震えます)
こうやって体温が上がった状態を「発熱」といいます。
この発熱の状態をエアコンに例えると、エアコンの設定温度を36度から38~39度に上げたような感じです。
その後病気が治ってくると、再び体温中枢が正常体温へと設定温度を下げるため、
温度が下がる分熱放散が起こり汗が出て、結果体温が下がります。
(汗がブワッと出た翌朝に熱が下がっていた経験、ナイですか?)

ではなぜ病気になると体(体温中枢)は体温を上げるのでしょうか?

血液の中に白血球というものがあります。
これはいわば体の中に入ったバイ菌と戦ってくれる兵隊のようなものなのですが、この兵隊の力が体温が上がることでパワーアップします。免疫能が活発になるんですね。
熱にしろ何にしろ、体が私たち人間の意思とは無関係に勝手にやってくれていることって、基本体にいいことが多いです。

大切なことは発熱自体よりも、その原因に目を向けることです

とういうことなので、一般的には発熱は体が病気に負けている?というような悪いイメージを持たれがちですが、むしろ体は良かれと思ってやっていることなんです。
大切なことは発熱自体ではなく、発熱を引き起こしている原因に対して迅速かつ適切に対応をすることです。
肺炎や膀胱炎なら抗生物質、という具合にですね。
ちなみに風邪はまだ特効薬と呼べるものはありません。
これが開発されたらノーベル賞ものだと言われてますが・・なので風邪は基本日にち薬です。

ちなみに熱中症の熱は・・これは絶対下げるべし!

おまけです。季節外れですが熱中症の体温上昇、これは「高体温」といって、体にバイ菌が入ったときに熱が出る「発熱」とは全くの別物です。なので呼び方も違います。
高体温のときは、体温中枢は設定温度を上げていません。
にもかかわらず、周りの暑さで体温中枢が壊れてしまって強引に体温が上げられている状態です。
体が意図していない体温の上昇なので、もちろん体に悪いです。
「発熱」の39度と「高体温」の39度では、体温は同じでも訳が違います。
すぐに冷やして下げましょう!ちなみに熱中症の熱に対しては熱さましは効きません。
熱さましは体温中枢に働きかけて熱を下げるので、体温中枢が壊れている熱中症には効果がないんですね。
それどころか薬を体の中で分解するときに熱が発生して体温が上がる可能性もあるので、絶対に使ってはいけません。
来年の夏まで頭の片隅に置いておいていただくと、役に立つかも?しれませんね。

松野町国民健康保険中央診療所 所長