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奥内の棚田及び農山村景観

ページID:0001266 印刷用ページを表示する 更新日:2018年5月29日更新

文化的景観の概要

「奥内の棚田及び農山村景観(おくうちのたなだおよびのうさんそんけいかん)」は、水田・畑地などの農耕に関する景観地として、平成29年2月9日に、奥内組全域にあたる370.3ヘクタールの面積が国の重要文化的景観として選定されました。

奥内の集落は、四万十川の支流広見川、その支流である奥の川、そのまた支流の奥内川流域にあって、遊鶴羽山や赤滝山という500~600メートル級の急峻な山並みによって閉ざされた3つの谷に、遊鶴羽(ゆずりは)、下組(しもぐみ)、本谷(ほんたに)、榎谷(えのきだに)の4つの集落が展開する形をとっています。田は谷部の緩傾斜地に棚田として存在し、宅地は尾根の緩斜面に、畑は宅地の周辺と山林際に分布しており、自然地形をある意味、自然のまま利用した立地形成がなされています。

遊鶴羽地区空撮 本谷地区空撮

選定名称が示すように、景観を構成する主体的な要素は棚田であり、平成11年7月には農林水産省の「日本の棚田百選」の認定を受けています。棚田の石垣は高いところで4メートルを超え、場所によっては城郭石垣とも見まちがえるような構造を持つ部分や、山津波などの過去の災害による巨石利用が行われた痕跡も認められます。

棚田の石垣 石垣の反り

また地区を取り巻く山林は、各種資料から見てもかつては山林資源の利用が活発であったと推測されます。町内でも特に天然生林の占める割合が高く、絶滅が心配されるような希少種を含む豊富な生物環境を育む場所にもなっています。特にヒメアカネやアキアカネというアカトンボ類が数多く認められる点は重要で、低農薬など伝統的農法の保持がこれらの生育に関係しているとみられます。また同時に、当初から集落にはため池が存在しておらず、山林全体が棚田営農や生活に欠かすことのできない水の供給源になっていたことも重要な側面です。

アキアカネ ヤマネ

さて、当地域における集落の形成は、弘法大師伝来の伝説をもつ県指定天然記念物「逆杖のイチョウ」をはじめ、五輪塔や近隣の中世山城の存在から中世以前にさかのぼる可能性をもっていますが、確実には江戸時代の古墓(元禄、宝永、正徳年間頃)を根拠に17世紀末~18世紀初頭頃と考えられます。

逆杖のイチョウ 古墓

このような江戸時代から続く奥内での生活・生業において特筆されるのは、ひとつには土地の所有形態であり、遊鶴羽、下組、本谷、榎谷の4つの地域に分散所有する傾向がうかがえます。住民は谷を越えた生業活動を日常的に行っていたのであり、地域内を広範に使った生活・生業の形を確認することができます。また、3の谷にはそれぞれ遊鶴羽の白岩様、本谷の赤滝様、榎谷の竜王様という「水」に関する信仰が現在においても消え去ることなく残されていることも重要です。さらに社会組織としても、ときには1つに、ときには2つにというように、「1」~「6」の単位に基づいて多様に組織を変化させつつ、大きくは奥内というまとまりとして暮らしてきたことがわかります。地域内における冠婚葬祭や各種作業において、その場面に合わせる形で、適切なサイズの組織が柔軟に形成されてきたのです。

竜王様 薬師堂

以上を通して、「奥内の棚田及び農山村景観」を一言で言い表すならば、「与えられた自然のキャパシティ(受容能力、許容範囲)に合わせた柔軟性のある暮らし方の積み重ねによって現れた景観を有する地域である」と位置付けることが可能です。

 

奥内へ行ってみよう

 訪問時の注意点

 狭い道が多いので車の離合等には注意しましょう。特に農繁期(3~4月、8月中旬~9月)には農道に車で入らないよう、また畦道にも立ち入らないよう気をつけましょう。たばこの投げ捨てやゴミの投棄もご遠慮ください。ルールを守り景観を楽しみながら散策してください。なお、団体でのご利用の場合(特に大型バス等をご利用の場合)は、松野町教育委員会教育課までご一報ください。

 アクセス ※下記の地図にある「遊鶴羽」は奥内にある4集落のうちの1つです!

 【公共交通機関利用の場合】

 JR宇和島駅からJR予土線松丸駅下車。各種交通機関あり。

 ・森の国バス 松丸駅➞奥内集会所前(出発時間6時31分、7時55分、12時32分、16時02分、18時17分)※日曜・祝祭日運休

 ・タクシー

 ・レンタサイクル(松丸駅から徒歩約5分の「虹の森公園」で貸出、連絡先:0895-20-5006)

  ※貸出時間:10時00分~17時00分 定休日:水曜日(祝日の場合、また7・8月は営業)

 【自家用車利用の場合】

 松山自動車道三間ICから県道31号線で松野町方面へ。国道381号線で「四万十町・四万十市方面」へと進み、県道106号線へと左折。「奥内の棚田・天ヶ滝方面」へ約2キロメートル直進し、さらに「奥内の棚田」の看板を左折し約1キロメートルで奥内下組の集落に到着。三間ICから約35分。

奥内 Information

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現地見学会配布資料(2017年11月11日) [PDFファイル/1.64MB]

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