目黒ふるさと館
目黒ふるさと館は、庄屋屋敷をイメージして建てられたものです。
館内には民具なども展示していますので、この頃の生活や文化に触れてみて下さい。
なお、蔵の展示室のみ有料となっています。
主屋蔵平面図
長屋平面図
入館料:200円(中学生以下無料、団体割引有20人以上150円)
休館日:毎週水曜日・年末年始
電 話:0895-43-0148
目黒ふるさと館概要
- 主屋:木造平屋建 121.21平方メートル
- 蔵:Rc造 64.77平方メートル
- 長屋門:木造平屋建 31.04平方メートル
蔵(展示室)内の様子
重要文化財 目黒山形関係資料
江戸時代の3D模型-目黒山形関係資料(所有者:宗教法人建徳寺)-
目黒ふるさと館の藏施設で展示している「目黒山形関係資料」は、平成19年に木彫りの模型である「目黒山形」をはじめ、これに関わる「敷絵図」、「裁許絵図」、「文書記録類(200点以上)」が国の重要文化財として指定されました。現在、町では所有者である地元目黒の建徳寺から寄託を受けて資料の保存、管理、活用を行っています。
目黒山形は、江戸時代のはじめ1665年(寛文5年)に製作されたものですが、この頃は吉田藩領の目黒村と宇和島藩の次郎丸村が1658年(明暦4年)以来、山の境界争いを続けていました。この争いは地元では決着がつかず、ついに目黒村が1664年(寛文4年)に幕府に提訴するに至ります。
この裁判で、幕府は絵図と模型の製作を両村に命じています。資料には地名の記述はもちろん、集落や道、河川や木々等を細かく描いており、模型や絵図によって村と山の関係が立体的にも平面的にもよく理解できるよう工夫されていました。
最終的にこの裁判では、幕府の裁許(判決)が1665年(寛文5年)10月に出されていますが、双方の主張を汲んで新しく設定された境界が示された裁許絵図(この裏に裁許状が書かれている)も発行されました。
江戸時代のはじめの境界争いの中で製作された木彫りの地形模型は、全国でこの模型を含めて4基伝わっていますが、裁判関係資料や模型製作資料など関連資料が一緒に保存されている例はこの模型だけということになります。全国的にも大変貴重な資料です。
目黒山形(模型)
最大寸法190.0×262.1cm。全体は6個に分割できる組立式で、材質は銀杏となります。縮尺はおよそ5900分の1で、現在の宇和島市、鬼北町、松野町にまたがる広大な面積が対象となっています。模型の1パーツ(6個中)の各部分は裏側と横をくりぬき、重量を軽くする工夫が行われていました。この模型とセットであったのが敷絵図で、模型を置く部分が空白となっています。
模型には材(木胎)を彫り込む形で、山や谷、盆地などが表現されています。材の上には胡粉を塗って彩色面をつくり、山地は濃い緑、平地は黄土色に塗り、山の斜面には樹木、集落には家の形が描かれていました。また、道は赤線、河川は藍色の実線で表現され、村の境界と想定される位置には白線が施されています。
裁許絵図と敷絵図
1665年(寛文5年)10月22日、幕府の裁許がおりて新しい境界が設定されました。この裁判結果が示されたのが裁許絵図です(写真下左)。境界線は黒線で記され、その上に老中以下7名の印(全部で12個)が押されていました。絵図の裏には裁許状が書かれており、目黒村、次郎丸村双方に発行されたと推測されます。また絵図は、もう一つ製作されていますが、それは上記の目黒山形をのせるためのもので、模型を置く部分が空白になっています(写真下右)。
古文書類
200点を超える古文書類は、絵図や模型の製作に関わる詳細がわかる資料群(訴訟文書、血判起請文、測量帳面、分縮帳等)が主なものとなります。このうち、訴訟文書は1658年(明暦4年)からの一連の目黒山の境界をめぐる争論と時々の事件の成り行きを記録したものとなります。また血判起請文は、幕府の命令で作成された誓約書(絵図等の製作において地形をありのまま表現すること、互いに口論しないこと、作成に携わる人数の調整等を記載)であり、熊野牛王紙を使って関係者の署名と血判が添えられてました。測量帳面は目黒村、次郎丸村双方が確認した公式の測量簿、分縮帳はこの測量帳面から絵図または模型をつくるために縮尺計算をして記録した帳面で、どちらも同じく40冊程度が残っています。
修理事業の実施
平成21年から平成28年度にかけては、宗教法人建徳寺が主体となって、これらの資料群の修理事業(国・県・町の補助事業)を実施しました。目黒山形は現地での埃や汚れを除去するためのクリーニング、絵図や古文書については古い補修紙の除去、シワのばし、絵の具層の剥落止め、虫喰いで欠けている箇所への補修紙の補充等の作業が行われています。修理が完了した現在、資料は桐箱等で保管し温湿度を確認しながら、適切な保存・管理・活用に努めています。
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